いちわのすずめ
桜の季節
春休みが終わると
進学 進級 ・・
子どもたちは
新しい世界へと歩み出します。
この頃になると
いつも思い出すレッスンがあります。
5才から高校2年の4月まで
私の教室に通ってくださったJちゃん。
小学校 中学校と特別支援学級
高校は特別支援学校に在籍していた
自閉症の生徒さんとのレッスンです。
私はどのようにレッスンを展開していったらよいのか・・
音楽、ピアノを通じて
楽しい時間を過ごすことができるように・・という思いと
ピアノのレッスンなのだから
ここまでは、このフレーズは両手で弾けるようにしなくては・・
という目先の事に焦る思いとで
試行錯誤を重ねる日々でした。
記録は大学ノート2冊分
高校2年生になったばかりの4月
関西へお引越しされ
私とのレッスンは終了しました。
12年間のレッスンで
ピアノの音、音楽が
Jちゃんの心の中に入っていくことができても
Jちゃんからの応答を
うまく引き出すことができないことの方が多かったのですが
7年前から筆談によって
Jちゃんの思いを
少しずつ知ることができるようになりました。
レッスンをしていた当時 わからなかった事
Jちゃんの気持ちが
筆談によってレッスンの記録とリンクし、
時を経て理解できるようになったこと・・・
22年前
幼稚園の年中さんで
初めて私の教室を訪ねてきた時は
想像もできなかったから
驚きと嬉しさで
涙が溢れてきます。
小学校1年生5月の記録から
「りんりん」という曲(江口寿子著 ぴあのだいすき から)
ソミソミ何度も弾いて
挿絵の天使の絵をよくさわっていました。
『きこえてくるよ
すてきなすずが
とおくでりんりん
ちかくでりんりん
やさしくりんりんりんりん』
運動会は雨で途中で中止になり
疲れているなら休み と思ったが「やる!」とのことで
3時半に来る。
りんりん②と①の指で何度も弾く
他の曲はやりたがらない。
疲れていたようなので
レーナ・マリアのCDを聞かせてみる。
ゴロゴロしながら聞いていた』
印象深いレッスンの一つでした。
やさしくリンリンの歌のところは
天使の挿絵です。
Jちゃんの楽譜の天使の絵は
指で何度も何度も
なぞっていたので
すりきれていたかかも・・
レッスンから15年が経過した7年前
お手紙を頂きました。
レーナ マリアのCD
特に讃美歌 「いちわのすずめ」について
書かれていました。
~~🎵~~🎵~~
この歌はJが小さい頃から
心に在ることが歌になったみたいだった。
つくづく神さまは守ってくれていることを初めて知った。
ここはつくづくです。
小学校1年生の頃、
なんでみんなと離れてしまったの
幼稚園に行くだけでよかったのに
一人ぼっちで悲しく悲しくていた。
その時一羽のすずめみたいだったことで
この曲は忘れられない曲です。
----- Jちゃんのお手紙から---
当時 私はJちゃんの 心の内を
何も気づいて上げられませんでした。
この讃美歌は
幼かったJちゃんの心にとても深く残り
そして今も心の支えになっていると言います。
コロナが蔓延する前まで
1年に1回 お会いしていたのですが、
3年ぶりでしょうか
先日 ZOOMで
お話をしました。
Jちゃんは
昨年 通信制高校に入学し
文字盤やワードを使って勉強しています。
将来は
自閉症の人の心の中を
伝えられる人になりたいと。
遠く離れていても
オンラインで繋がったことで
ピアノも
再開してみようかな
弾きたい曲
フィギャーーノートにして
チャレンジしたいね。
ゆっくり
Jちゃんのペースでね。
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